キャリアの積み方は人それぞれだ。
自分が取り組みたい事業を起点に職場を選ぶ者もいれば、働く人起点で決める者もいる。
オンライン診療アプリ『CLINICS』、クラウド型電子カルテ『CLINICSカルテ』 に携わるエンジニア宮内勇樹は、自らの成長機会を軸にキャリアを積み重ねてきた。
新たな技術を試せる環境や、変化が激しいソーシャルゲーム、成長スピードの早いスタートアップまで。その時々でチャレンジできる場を求め、経験を積み重ねてきた。
開発本部のメンバーから絶大な信頼を集め、その技術力を高く評価される宮内。彼の目に映る、メドレーという環境を紐解いていく。
宮内のファーストキャリアは、ゲーム業界のプログラマだった。
約4年間、コンソールゲームを中心にいくつかのタイトルの開発に参加した後、Webの盛り上がりを察知し、Web業界へ転向。ゲームSNSの開発を担当し、Webでの技術を積み重ねていった。
宮内にとっての転機は、Web業界へ転向してから4年後。30歳を目前にした頃だった。
「Ruby on Railsでサービスを作りたいと思ったんです。ただ、当時はまだRailsがメジャーでなく、開発に使っている会社もクックパッドくらいしかいなかった。探し回った結果出会ったのが、とあるスタートアップだったんです」
かねてから、宮内はRailsという技術に高い関心を寄せていた。コミュニティ等にも参加し知見を深めてきたが、実業務で試したいという思いが強まり、スタートアップへ転職。Railsエンジニアとしてキャリアを積んでいく。
スタートアップで技術的挑戦を重ねた後、ソーシャルゲーム開発で知られるドリコムへ転職。変化が激しく事業規模も大きいソーシャルゲームの開発に携わった。
「ドリコムではスタートアップとは異なる刺激を受けましたね。大規模チームで効率的な開発を考え、次々と開催するゲーム内イベントを作り続ける——ハードな面もありましたが、この経験はとても学びになりました」
Railsに取り組める環境を求め、スタートアップから大企業まで、多様な経験を重ねた宮内。
そのキャリアを存分に活かしたのが、前職の教育系スタートアップQuipperだ。
Quipperは2010年に創業し、2015年にリクルートへ買収された。宮内が入社したのは2014年頃。買収されるまでの拡大期を技術面で支え続けた。
これまでの経験を存分に活かし成長へ貢献する一方、宮内自身この環境から様々なことを学び取った。特に共同創業者/CTOの中野正智氏から受けた影響は大きかった。
「CTOの中野さんは、スタートアップだからといって全てを自分達だけでやるべきではないと考える人でした。アウトソースできるものは外に出し、自分たちが真に取り組むべきコアな部分に集中すべきだと。これはとても本質的だなと思いました。他にも哲学や開発スタイルなど数多くを学び、エンジニアとしての視点を上げる良いきっかけになりました」
宮内の現在まで続く開発ポリシーは、ここでの経験が糧になっている。
「Quipperは、Herokuの創業者が提唱する効率的にスケーラブルなサービスを作る方法論「The Twelve-Factor App」を、開発の指針におき成長しました。この方法論は、いまも私が開発を担当する上で意識する要素のひとつになっています」
2015年、Quipperが買収され次のキャリアを考えはじめた宮内。
そこへ連絡してきたのがメドレーCTOの平山だった。平山と宮内はスタートアップで共に働いた関係。退職後もソーシャル上でお互いの活躍は目にしていた。
「リブセンスのCTOを経てメドレーのCTOになったのは目にしていたので、連絡が来たときは驚きましたね。私自身Quipperをやりきった感じもあり、丁度転職しようと思っていたタイミング。迷いなく、平山の誘いに乗りました」
宮内がメドレーへ入社したのは、『CLINICS』の開発が水面下で進む中。当初は、医療介護求人サイト『ジョブメドレー』の改善等を担当した。
スタートアップ・大企業問わず、多様な開発チームを目にしてきた宮内から見ても、当時のメドレーはなかなかユニークな環境に映った。
「一緒に働くエンジニアは様々な環境の第一線で活躍してきたメンバーばかり。これは面白い環境だなと思いましたね。平山は常々、“自走できる組織を目指す”と言っているのですが、当時からその雰囲気を体現しているようなメンバーでした」
経験豊富とはいえ、医療というテーマの難しさはあると宮内は考える。
それは開発難易度の話だけではなく、エンジニアとしてどれだけ高い視点でサービスと向き合えるかも試される。宮内は薬の投薬量を例に挙げて説明してくれた。
「たとえば、小児科では子どもの体重によって投薬すべき量が変わってきます。そこで、カルテのシステムに、体重を基準とした投薬量を自動算出する機能をつくる。一見便利そうにみえるのですが、この場合体重を誤入力してしまうと、本来処方すべき投薬量を上回る誤処方をしてしまう恐れがあるんです。利便性を考慮した仕組みが、患者の命に関わるかもしれない。そういった危険性を理解し、どう使われるかまで考えた上で、エンジニアは開発しなければいけません」
医療ならではの難しさを感じる一方、さまざまなフェーズを見てきた経験から、スタートアップゆえのやりやすさもあるという。そのひとつはエンジニアの裁量の大きさだ。
小規模なチームでは、開発以外も含めたあらゆることを手掛けなければいけない。一方、大規模な開発部隊になると、専門性ごとで部署が分断される。メドレーはそのバランスがちょうどいいという。
「バックエンドもフロントエンドもやるといった感じで、役割を分けすぎず、1から10まで面倒を見られるのはありがたいですね。役割を分けるとコミュニケーションコストが増大します。チームが大きくなるほど、タイムロスが大きくなり、成長速度を鈍化させる要因になりますから」
もちろん、全てを見るのは楽ではない。それでも宮内は、いまの環境を楽しんでいる。
「企画からソリューションまで、このフェーズだからこそ、エンジニアが考えるべき範囲はとても広い。自分が考えたものをアウトプットまで見られるのはとても貴重な経験です。大変ですが、そこが面白いんです」
interview, edit, write: Kazuyuki Koyama (weaving inc.)
photograph: Shunsuke Imai
interviewed: 2018 Oct.